トラクターがハマった時の脱出法(スタックからの生還劇)

何度もトラクターをスタックさせてきた私ですが、今回のは苦労しました。

ありとあらゆる手を駆使して脱出を試みましたが、脱出できる方法は少ないことが分かりました。

今、この記事を読まれている方は大変な状況かと思いますが、安心してください。

必ず脱出できますから。

脱出できる方法は、実は2つしかない

・毛布をタイヤに噛ませる

・穴を掘る

・土を乾かす

・タイヤの下に板を入れる

などなど、いろいろと方法が思いつくかと思いますが、この程度では重症のハマりには効果はありません。

周囲を掘りたくなりますが、労力の無駄です。そんなことではトラクターは脱出できません。

土が乾くのを待つ、という方法は乾く土壌なら良いでしょうが、時間がかかりすぎるという事と、土が乾くような場所ではそもそもトラクターはハマったりしないですよね。

土が乾くのを待つという方法も、個人的には無し、かと思います。

脱出方法1 別のトラクターに引いてもらう

この方法は、すぐに思いつくかと思います。

しかしこの方法は1人ではできません。

運転手が2人以上で作業をしなければならない事と、誰かを頼んだ場合、お金や御礼を渡さなければならなくなりますので、コストがかかります。

できればローコストに抑えたい、トラクターのハマり脱出ですから、別のトラクターに引いてもらうのは、最後の最後に考えたいと思います。

軽トラなどで引くことも可能ですが、条件がよほど良くないと引っ張れませんし、軽トラ程度のパワーでは引き上げるのは難しいでしょう。

トラクターは思ったよりずっと重いです。

脱出方法2 木材をホイールに巻きつけて脱出

私は、この方法で私は数々ハマりを脱出してきました。

他のトラクターに引いてもらう方法以外にはこの方法しか無いと断言します。

逆に言えば、この方法は必ず出せますので、木材と鎖を早く用意して、脱出を試みましょう。

トラクターの脱出を焦らない

トラクターがハマって動かなくなってしまうとかなり焦ります。

焦ってあがけばあがくほど、トラクターはどんどん沈んでいってしまいます。

しかし焦りは禁物です。

一度ハマってしまったトラクターを上げるのはかなり骨の折れる作業です。

相当大変な仕事の一つですから、焦らずに時間をかけてあげましょう。

あがかなければ、沈み込みも少なく、脱出も楽になります。

トラクターは田んぼに沈んだまま何日か置きっぱなしでも大丈夫

今回、私はトラクターを4日がかりで引き上げました。

田んぼに3泊4日したトラクター。

結果は、全然大丈夫です。

エンジンは前部についてますから、沈み込む可能性も低くなっています。

ハマってもエンジンは水に沈まない設計になっているのだと思います。

なので、田んぼに沈んだまま何日か置きっぱなしになってしまったとしても大丈夫だと分かっておいてほしいです。

装備をしっかり整えてから、出直してきましょう。

準備するもの

・太めの木材(角材)長さは110cmを2本

・チェーン3m〜5mほどを2本

要は、太めの木をホイールに縛り付けて脱出を試みるという方法です。

私のトラクターの後輪の直径は90cm。

その両端を10cmくらいずつ外側に出してくくりつける感じです。

チェーンが良いのは、ガッチリと噛み合った時にかなり強力に固定できるからです。

チェーンは結びにくいですが、はずれない程度にくくりつけておけば、車輪が回りだすと勝手に締まってくれます。

外す時は、ガッチリと締まったチェーンは、バールでこじると外れやすくなります。

木材は角材でも、丸太でも大丈夫なので、折れないような丈夫なものを準備しましょう。

その他、あったらいいもの

・広めの合板(トラクターの横に置いて足場にする)

・スコップ(タイヤに角材を付ける時に邪魔な泥を取り除く)

・長いロープ(何かと便利)

こんな感じでしょうか。

細かく言うとキリがなくなるので、これくらいにしますが、広めの合板は準備しましょう。足場がべちゃべちゃになって動けなくなります。

繰り返しになりますが、一度出直して装備を整えて出直しましょう。

今回のスタック(2020年5月9日)

完全に油断していました。

草が伸びている田んぼでは、トラクターが草を踏んでハマりにくくなるで、ハマることはないだろうと油断して、年中じゅくじゅくの湿地に足を踏み入れてしまいました。

じゅくじゅくじゅくじゅく…

突然ハマってしまいました。

しかし、これまで何度もトラクターをハメてきて脱出もさせてきましたから、すぐに脱出できる自信がありました。

今回も大丈夫。と。

しかし、角材を巻いてもドロドロの土壌過ぎて角材が土に噛みません。

角材さえも泥に空回りする状態で、トラクターはどんどん奥深く沈んでいきました。

あまりの泥沼に、溝を切って水をはかす事を考えました。

2日目

角材を巻いても脱出できない…。

という状態に、周囲を掘ることしか考えられなくなっていました。

湿地でも溝を切れば乾燥してくる。と。

でも、年中湿地だった場所を乾燥させるなんて、何日かかるのか気が遠くなります。

すると、近くで大きなトラクターが草刈りをしていました。

ダメ元で知らない人だけど、引き上げてくれないか頼んでみよう。と母。

ということで、

「すみませ〜ん、トラクターを引き上げるの、手伝ってもらえませんか?」

「どこな?ついて行くが!」

と、コワモテのお兄さんが運転するトラクターが来てくれました。

コワモテながら、優しい人です。

そして、チェーンでトラクターを繋いで引っ張ってもらうと、

ブチッ!

と、チェーンが切れてしまいました。

「ワイヤーが無いと無理やな。」

と言って、お兄さんは行ってしまわれました。

トラクターでトラクターを引き上げるなら、ワイヤーなどの丈夫なつなぎ合わせるものが必要でした。

せっかくのチャンスだったのに残念でした。

コワモテのお兄さん、高崎農園という高崎牛を育てているところの方でした。

高崎牛、よろしくお願いします。

3日目

だんだんと自信が無くなってきました。

弱気になってきたので、YouTubeやブログで引き上げる動画や記事を読んで、成功イメージを固めました。

そして、人のいろいろな情報を見ていると、引き上げが成功しているのは、別のトラクターで引っ張り上げるか、木材をタイヤに巻きつけるかの2通りしかないことに気づきました。

よし、角材をしっかりと長さを測って切って両輪に巻いてから、デフロックをして引き上げよう。

デフロックとは、後輪の両方をロックさせて両輪を同じ量回転させる機能の事。パワーが強力になり、脱出時に使用する。

デフロックは、デフロックペダルを踏んで作動させます。私のトラクターには、右足のかかとの部分にペダルがあります。

そうして角材を巻きつけてトライするも、やっぱり泥で空回り。

そして気づきました。

巻きつけた角材の下に、アルミブリッジをかませよう。と。

角材が空回りするから脱出できないのです。

そして、角材の下にアルミブリッジを噛ませて、いざ!

すると!

バキバキバキー!

と言いながら、ウイリーして前進しました。

よしゃ!あがった!

そうです、角材をホイールに巻きつけて脱出すると、トラクターはウイリーします。

しかし、あがったと思ったトラクターは、どんどん傾いて、横転しそうになり、ストップしました。

やばい、横転すると命に関わります。

そんな時、近所のお節介おじさんが登場!

お節介おじさんが邪魔に

トラクターの鼻先を軽トラで引いて、姿勢を立て直そう。お節介おじさんが言いました。

これはいい提案でした。

軽トラで横に引くと、横転しそうだったトラクターはまっすぐ戻りました。

良かった!

その後は、お節介おじさんが主導権を握り、ここの穴を掘れ、軽トラで引っ張ろう、角材をここに埋めよう…。

それから、トラクターは1センチも前進しませんでした。

そして、あたりは真っ暗になりました。

「もう帰りましょう。」

私が言っても、お節介おじさんはもう少し、もう少しと言って聞きません。

そうしていると、トラクターのエンジンが全くかからなくなりました。

泣きっ面に蜂とはこの事です。

でも、さすがのお節介おじさんも、エンジンがかからなくなっては万事休す。

この日の作業はこれで終わりました。

4日目

お節介おじさんは、4日目も夕方に来るから!と言って帰って行きました。

来なくていいのに…。

と思いながらでした。

もう、お節介おじさんから邪魔されない時間に作業をするしかありません。

朝四時に起きて再びトラクターの元へ行きました。

昨夜はアドレナリンが出たり、お節介おじさんに頭に来たりしていて眠れず、3時間ほどしか眠れませんでした。

さあ、あげるぞ!

かからなくなったエンジンを治す

泥沼から上がって、そのまま乾燥すると泥が固まってトラクターがかからなくなる場合があります。

過去にもエンジンが、うんともすんとも言わなくなる現象が発生したことがありました。

そんな時はトラクターを洗車すると治りました。

今回も洗車をするとすぐにかかるようになりましたよ。

引き上げ作業

まずはタイヤに角材を巻き直しました。

横転しそうになるので、内輪側のタイヤには短めの角材を巻き、外輪側には長い角材を巻きました。

それから、軽トラを内輪側の中心部付近に置き、トラクターの鼻をロープでつなぎ、トラクターの先端が外側へ流れてしまわないようにしました。

そうして、外輪側の角材の下にアルミブリッジを入れて準備完了です。

エンジンをかけて、ゆっくりとクラッチを離し前進を始めました。

バキバキバキー!

と言いながらウイリーをはじめて、祈るような思いで、デフロックペダルを踏み込んでトラクターの動きを見ていました。

どん!

とウイリーから落ちた前輪が陸地に着地した瞬間、田んぼからの生還を果たしました。

洗車

トラクターを愛おしく思い、隅々まで洗車して車庫に直しました。

トラクターのタイヤとホイールの隙間に角材の破片が挟まっていて、大変な思いをさせてすまなかったと思いました。

もう、二度とスタックさせないように、水はけを良くしてから田んぼを打とうと思います。

まとめ

結局は、タイヤに角材を巻きつける事でしかハマったトラクターが自力で這い上がることはできないと断言します。

逆に角材とチェーンを準備しておけば、何とか脱出できます。

それでも脱出できない場合は、角材の下にアルミブリッジなど丈夫なものを入れれば脱出できるはずです。

でも、まずは落ち着くことです。

怪我をしては何にもなりません。

トラクターは田んぼに沈んでいても壊れたりしないようにできています。

時間をかけてあげれば、かならず脱出できるものだと思います。