鉄のサビ止め剤として、コールタールというものがホームセンターなどで売られています。
私はコールですから、他人とは思えず勝手に親戚のような存在と思っています。
価格が安価ですから、DIYの人にはコールタールがサビ止め剤の選択肢に入ってくると思いますが、このコールタール、厄介な面も多く含んでいます。
私は後悔もしていますが、価格的に仕方がなかったとも思っていて、45点くらいの塗料です。
今回はコールタールについて、詳しく書いていきます。
コールタールの歴史
コールタールは黒いサビ止め剤として、古くから存在しています。
ペリー来航時に乗っていた黒船の黒は、このコールタールの黒だと言われています。
ペリーの船に塗られている、歴史と伝統のあるサビ止め剤であると言えるでしょう。
コールタールの原材料
コールタールは石炭を蒸し焼き(乾留)にしたときに発生する副産物で、石炭から炭素(コークス)を抜き取るための工程で発生するそう。
石炭のまま焼くよりも、コークスにした方が高温になり、蒸気機関車や鉄鋼業などで多く使用されてきました。
コールタールは石炭から出る、副産物なのです。
コールタールのメリット
コールタールは安い
一斗缶(16kg)あたり、5,000円〜6,000円です。
トタン屋根用のサビ止め塗料は12,000円程。
コールタールはサビ止め剤のほぼ半額で購入できます。
コールタールはサビの上から塗ってOK
コールタールは安いだけじゃない。
コールタールは固まらない塗料と言われています。
サビの上からもガンガン塗って、サビの内部まで浸透してサビごと固めてくれる凄いやつです。
プロの塗装屋さんの言葉を借りると、
「下処理が大切」
プロはサビを落とし、塗装します。
もっと言うと、前の塗装まで落として綺麗に削ってから塗装するようです。
しかし、コールタールは下処理なしで塗っても、サビごとコテンコテンにしてくれます。
サビを落とそうとして、鉄板屋根に穴を開ける
僕は自分の買った中古物件の鉄板屋根に、一面コールタールを塗りました。
何も知らずにコールタールを塗ったので、ご近所さんに迷惑をかけて、自分の家の洗濯物に匂いを移し、家の中までコールタールの匂いをさせ、大変な迷惑をかけながら7ヶ月かけて塗りあげました。
そのときに、コールタールはサビの上から塗れることを知らずに、サンダーでサビを落とそうとしていたら、鉄板屋根に穴を開ける失態。
そんなことしたら雨漏りしますよね。
中古物件は築70年と言われている歴史と伝統のある物件でしたから、鉄板屋根のサビも大変なものでした。
その点においては、コールタールはサビごと固めてくれるので、良い塗料だったと思います。
最初に少しだけサビを落としましたが、屋根に穴を開けてしまったので、その後は下処理なしでコールタールをガンガン塗っていきました。
コールタールのデメリット
においが強烈なコールタール
コールタールは独特のシンナー様の匂いがあり、施工時には防毒マスクが必須です。
そして、住宅地の様な近所の近い場所では、使用しない方がいいでしょう。
私の家は、近所があり、苦情も来ましたから、申し訳なく思っています。
繰り返しますが、近所のある場所では使用は控えましょう。
耐久性にも難あり
固まらない塗料のコールタール、ということは、はがれやすかったり薄くなって、またサビてきます。
1年に一度は屋根に登ってサビのチェックをしていますが、結構な剥がれ具合です。
サビの部分だけ塗るので、そんなに時間はかかりませんが、放っておけばサビだらけになり、侵食が進みます。
1年に一度は塗り重ねる作業が必要です。
上に他の塗料を塗ることができない
固まらない塗料という事で、コールタールの上から他の塗料を塗る事が難しいと言われています。
この事が、コールタールを自分の家の屋根に塗った事の後悔の主なところです。
通常の塗料は固まりますから、コールタールの固まらない上に塗れば、ヒビが入ってきてしまうそう。
塗り重ねたらいい塗料であれば問題ないのですが、コールタールの上からはコールタールしか塗る事ができないようです。
例外がある?!
コールタールの上から他の塗料を塗れないか、調べてきました。
油性のシルバー塗料なら塗る事ができる、らしい。
あくまでもネットで拾った情報ですから確かではありませんが、実際にコールタールの上から塗って確かめてみようと計画中です。
今後、続報を書きたいと思います。
まとめ
安くてサビの上からガンガン塗ってサビを止められる、いいサビ止め剤ではあります。
ただ、においや耐久性、他の塗料を重ねて塗れないなど問題点も多い塗料ですから、塗る前によく考えてから施行した方がいいです。
僕の考えでは、自分たちが住む家などにはコールタールは塗らない方がいいと結論づけています。
やはり、におい等の扱いづらさと他の塗料を重ねて塗ることができなくなるという点で、大事な部分に塗るのをやめておいた方がいいと思います。
倉庫の屋根や、壁、農機具など、どうでもいいと言ってはなんですが、あまり重要ではない場所になら塗ってもいいと思います。
ペリーの黒船の塗料ですが、使い方次第では今なお使える塗料でもあります。
塗る前にこの記事を読んで、コールタールのデメリットを考慮した上で施工して、後悔のないようにしてほしいと思います。
追記
コールタールが油性塗料最安と思っていましたが、こんな物を見つけてしまいました。
コールタールよりも安くて、しかも普通のサビ止め剤の様子。
コールタール塗るくらいなら、こっちの方が断然いいと思いました。
コールタールは匂いがな・・・
うちの田舎は近所含めてコールタールを塗るのが普通で苦情が来ない土地柄なのですが、隣家がコールタールをやめ、多分油性のシルバー塗料を塗ったのです。
結果、夏に反射した光が家に差し込み、眩しいのと室内気温が上がる結果となりました。
ですのでシルバー塗料も隣家の距離と光のさし具合によっては、苦情が出るかもしれませんよ。
コメントありがとうございます。
なるほどですね、シルバー塗料は太陽の反射を考慮しなければいけませんね。
うちの場合も、おそらくシルバー塗料を塗るとご近所さんに迷惑になるかもしれません。
ただ、コールタールの上にシルバー塗料は重ねて塗ることができるのですね。コールタールの上にシルバー塗料は塗ることができる。ただし太陽の反射に注意。といったところでしょうか。
こんにちわ。離れていた実家に戻る予定なのですが、雨漏りが・・・なので、コールタール系が穴を塞ぐにも錆止めにも良いかなと思って検索して辿り着きました。ところで、追記にある錆止めとは、パワーテック防水でしょうか?ご教示いただけたらありがたいです。