リハビリとは?理学療法士の立場から見たリハビリの目指すところ。

「リハビリ」という言葉は、2020年現在、かなり一般的な言葉になりました。

ただ、正しく理解して「リハビリ」という言葉を使っている方は、一般の方には少ないような気がします。

ここで、理学療法士の実施する「リハビリ」の本当の意味を理解してもらえたらと思います。

リハビリの正式名称

日本語は短縮して単語を表現するのが得意な言葉です。リハビリという言葉も短縮語。

リハビリの正式名称は

リハビリテーション(Rehabilitation)

もともとは英語ですね。

re : 再び

habilitation : 適合する

ということで、「再び適合する。」の意味。

リハビリをすることで、社会や日常生活に再び適合するような状態にするための行為。

リハビリ = マッサージ ではない。

マッサージとリハビリが混同している方も多いですが、前述の通り、そうではないですね。

痛みを取るために、ベッド上で動かしたり伸ばしたりすることはあるのですが、あくまでも目標は歩きや動きを良くするため。

リハビリは、何らかの社会や生活に適合できない状態を回復させることですから、やはりマッサージとは異なります。

理学療法士から見た「リハビリ」

理学療法士は、基本動作の回復を得意としています。

基本動作とは、寝返り〜起き上がり〜歩行までの人間の基本的な動作のことと言われています。

脳卒中で歩けなくなった。足を骨折して歩けない。などなど…何らかの問題が生じていて、そこを回復するための行為が「リハビリ」です。

歩けなくなった。までいかなくても、歩くときに痛くて歩きにくい。よく転ぶ。体力がない。などの状態であっても「リハビリ」をして回復をめざします。

要は、健康だった頃のような生活を再びできるように訓練していきますよ。ということ。

「リハビリ」が目指すところ

生活の範囲、という言葉がある。

人によってそれぞれ範囲は異なっているのだが、健康な人は行こうと思えば買い物や外出、旅行なども行くことができるだろう。

リハビリが必要な人は、おそらく生活の範囲が狭くなりつつある人ではないかと思います。

生活の範囲が1番狭くなってしまうと、ベッド上の寝たきりの状態になるかと思います。

我々理学療法士は、寝たきりの状態にある方は、まず目標の1つに座れるようになることを設定します。

座れるようになれば、次は立ち上がること、次は立っていられるようになり、歩けるようになること。

と、生活の範囲を広げて行くことを考えます。

リハビリをすれば、際限なく生活の範囲が広がって行くのかといえばそうではありませんが、

「買い物に行きたい。」

「また、ゴルフをしたい。」

という希望があれば、その生活の範囲まで広げていく必要があるわけです。

車椅子や介助用品・介護者を利用する

生活の範囲を広げることがリハビリの1つの要素であるということですが、健康な人と同じ条件にならなくても、生活の範囲を広げることは可能です。

歩けなければ、車椅子を使えばいいわけです。

車椅子を漕ぐことができなければ、車椅子を押してくれる人を見つければいいのです。

リハビリでは、人の訓練や成長だけがクローズアップしがちですが、自分の能力に合わせた介護用品の選定も大切なリハビリの1つです。

環境整備まで理学療法士は考える

リハビリはリハビリ室だけで行われるものではありません。

リハビリ室でなら歩けるのに、家では歩きません。という方はよくあるパターンです。

「家には手すりがないから。」

家に手すりをつける、トイレに手すりをつける、段差を解消する。大幅な住宅改修のアドバイスをしたりもします。

生活の場がリハビリの場になるとベスト

数年間、訪問リハビリを担当させてもらったこともあり、家の中でリハビリを患者様に対し実施していた。

狭い部屋や、暑い寒いはあるのですが、そんな不足よりも、トイレの練習や外に出る練習、食事の準備の練習、風呂に入る練習など、実践の場でリハビリできたことは、大いに効果のあるリハビリが提供できていたと感じている。

ということで、リハビリとは

話が蛇行してしまいましたが、リハビリを一言で言えば

「住みたい場所に住んで、行きたい場所に行けるようになるための練習・行動」

リハビリの目標は「自己実現」に近いかもしれません。

膝が痛い、腰が痛い、から始まって、脳卒中の後遺症や高齢などで思うように動けない方も、諦めないでほしいのです。

リハビリがあればまた、住みたいところに住んで、行きたいところに行けるようになれるかもしれません。

そのお手伝いをするのが、リハビリであり、我々理学療法士だと思います。