仕事を辞めて、無事に自転車世界一周旅行をスタートさせたわけだが、自転車移動は思っている以上に大変で、なかなか進まない事を実感する。
車で10km進むのなんてほんのちょっとの時間で進めるのに、自転車で10km進むのは大変。
ましてや雨なんか降ろうものなら、ブレーキも効かなくなって危ない!
坂道の多い日本の道。
歩道もあったりで、自転車にとって走りやすい道路とはいえないのだ。
(タイの道は路肩が広くて、平らで走りやすかった)
親父と過ごした出発前夜
初日、出発してすぐに眠たくなってきた。
それもそのはずで、昨夜寝たのは午前3時。
なぜそんなに遅く眠ったのかといえば、仲良しの親父とオセロの勝負をしていたのだ。
出発の前夜、妙にひっついてくる親父。
これが最後になるかもしれないと思っていたのだと思う。
実は、外国に行くのはこれが最初では無い。
19歳の頃、無鉄砲に中国へ突撃したことがある。
その時親父は、
「俺には息子は居なかったものと思おう。」
と自分に言い聞かせたらしく、今回もそうだったのかもしれない。
それを聞いた時は、そんな思いをさせてしまったのか…。
と思うと同時に、「んな大袈裟な…」とも思った。
19歳の中国へ突撃した話は、ここでは割愛するが、この時と同じ気持ちだったのかもしれない。
外国での死亡する時の死因
外国へ行って、残念ながら亡くなってしまう方もいる。
そんな方の死因を調べて、両親の説得を試みたことがある。
死亡原因は、交通事故や火災事故がほとんどを占めている。
殺害されたり、強盗に遭ったりする事は、まず無いと言っていい。
しかし、自転車で旅行をしようという僕の旅スタイルは、交通事故と背中合わせで、危ないと言えば危ないのだが。
交通事故で死ぬかもしれないのは日本にいても同じことなので、外国だけが特別なわけではない。
ただ、外国に出て分かったことだが、日本の道路上はルールをみんながキチンと守って、安全に交通が維持されている。
しかし外国は、ルールも何もあったもんじゃなくて、レースのように我先にと、交通が繰り広げられている。
世界の交通死亡事故ランキング
1位 中国
2位 インド
3位 ナイジェリア
4位 ブラジル
5位 アメリカ
人口が多い国が、交通死亡者が多くなっているが、中国・インドの二国とも行ったことがあるが、道路上のカオスっぷりは半端じゃない。
道路上がごちゃごちゃしていて、何処を走ったらいいのか分からないような感じなのだ。
そんな道路事情なので交通死亡事故もダントツで多い。
両親の説得にと、調べた世界の道路事情だったが、逆に世界の危険さを露呈してしまった。
隣町の神社で野宿
結局、眠たいやら荷物が重たいやらで、初日に進めたのは30km程だった。
夜は後輩のひー坊と一緒にご飯食べに行った。
ひー坊は専門学校の頃の後輩で、いい男だ。
「頑張ってくださいね。」
そう言って、奢ってくれた。
「ありがとう。」
帰ってきたら、今度は俺がご馳走するから!
(まだ約束を果たしていない…)
と、第一歩を無事に踏み出せたわけだが、野宿する神社に戻ると、大事なものがないのに気がついた。
「あれ?ケータイが無い…」
ひー坊の車に大事なケータイを忘れる失態をしてしまった。
どうしようか…、ケータイが無いから連絡を取りようもないし…
という事で、真っ暗な神社でふて寝するしかなく。
「明日、なんとかしよう。」
こんな感じで、先が思いやられる初日になった。